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辛口?いいえ、熱いのです! 道野 正シェフ×谷 昇シェフ対談収録

第8回【世界料理学会 in 函館】1日目-program1

1.料理人という生き方
道野正氏(ミチノ・ル・トゥールビヨン)×谷昇氏(ル・マンジュ トゥー
※以下敬称略

東に谷シェフあれば、西に道野シェフあり。
辛口にあらず、実践者の本音対談。

谷:神学部ご卒業でしたね。
道野:種の存続が人間の学びの通底であるなら、食はその根源。ただし、いかに心に働きかけるかでその働きは大いに違う。だから料理。

谷:若い世代に伝えたいことは。
道野:言葉では伝わらない時代。ここまでやるのだという姿を見せているつもりだ。そして、正直言えば伝えたいことなどない。自分がどこまでいけるかを思っている。きりがないので。

谷:年齢でものを言うことはしない。ただ、自分の戦う術を身につける場での姿勢が問われる。多くの若者を迎え入れたが笑顔で送り出せたのは5人ばかりだ。

道野:今日会場に居る旭川の河原君(メランジェ・カワハラ)が入店した時、俺は大学出だぞというと、学歴は関係あるんですかと聞き返してきた。そこで、ひとつ身につけたら一つお客様を喜ばす事ができると言ったら、顔が優しくなった。この子は見込みあるなと。それから25年です。
道野:函館には45年前に一度来たことがある。どう生きればいいのかわからず戸惑っていた時代。今日函館に来ることができて、20代の自分に言ってやりたい。45年後、偉くも有名にもなっていないし裕福でもないが、悩むな、悪くないぞと。自分のしていることを信じてやっている。
66の道野と67の谷がここで語ったことを、みなさんがファイティングポーズを取るのが難しくなった時、思い出してくれたら。

谷:様々な分野の本を読むことが大切。食以外のあらゆるジャンルを読む。
道野:料理写真を見るとどうしても頭に残る。文字で読む方がいいですね。イマジネーションが働く。

(会場との対話。「お二人が読んでよかった本をお教えください」に対して)
道野:福岡伸一の「動的平衡」はいいですよ。
谷:中東さんの「草を喰む〜草喰なかひがしの四季〜」には癒されました。フランス料理は過剰に装飾的だから。あと、佐藤優も読みます。
…と僕が言ったら道野さん、「ああ、学部の後輩だよ」と。やはり、かないませんでした(笑)。

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